あなどるなかれ

2002年10月23日
10月22日にリサイタルホールで行われた山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」の試写会に行ってきました。

何を隠そう僕は時代劇が大好きなんです。
(「盤学の一生」はお勧めです)

今回の作品は時代劇ですが、あまり期待していませんでした。山田洋次でしょ。この監督の作品ってどうもねぇ。一応「学校」シリーズは全作(「1」「4」がお勧めです)劇場で見ていますが、どこか説教くさいというか、説明書的な映画作品のような気がするんです(表現が分かりにくくて御免なさい)。

しかし、ですよ。今回は違いました。正直、してやられたっていう感じです。作品の完成度がかなり良くて面白い作品に仕上がっていました。

舞台は幕末の庄内、海坂藩。
平侍の井口清兵衛(真田広之)は、妻を亡くし幼い娘二人と年老いた母親と生活をしているが武士の給料だけでは金銭的に苦しく夜は内職に励んでいる。
清兵衛の友人の倫之丞(吹越満)の妹である朋江(宮沢りえ)は、夫である豊太郎(大杉漣)の暴力に耐えかねて実家に逃げてきている。
豊太郎は、「俺を打ち負かすことが出来たなら朋江と別れてもいい」という条件を出してきた。
倫之丞は「俺では勝てそうにないので、お前が決闘に出てくれ」と頼む。
清兵衛は渋々了承する。
豊太郎が刀を使ったのに対して、清兵衛は木刀のみを使って勝ってしまったことが、藩内に知れ渡る。
その噂を聞きつけた藩主は、清兵衛にある人を斬ってこいと藩主命令を出すのであった・・・

真田広之はいい役者だ。現代劇でも時代劇でも通用する人だと思います。時代劇である程度知名度があって映画館に人が呼べる俳優は、この人と中井貴一ぐらいでしょう。

この作品は現代のサラリーマン層と照らし合わせているなと感じるシーンがいくつもある。
例えば、現在では崩れつつあるが年功序列の世界、上司(藩主)の命令には従わなくてはならないなどのシーンがあげられます。

宮沢りえとの淡い恋愛シーンなどもありますが、一番の見所は、清兵衛が斬りにいく相手を演じた田中○(シ+民で「ビン」か「ベン」か「ミン」と読むのかな?パソコンに入力しても漢字が出てこなかったので御免なさい)の演技力です。この人は前衛舞踏家の人らしいのですが、何者なのかはよく知りません。だから、僕もそうですが、初めて見る人が殆どだと思います。この人の演技は凄かったですし、真田広之との立ち回りシーンもテレビの時代劇のようなチャッチイものではなく迫力満点でした。
時代劇はチャンバラシーンがよくないとつまらないですが、本作は「◎」ですよ。

<若い人には興味がない作品ですが、邦画のお家芸である時代劇を是非劇場で見てください>
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来年の1月公開の「壬生義士伝」はかなり期待しています。予告編だけ見ても興味がわきました。

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